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2)高次脳機能障害について [介護のこと]



1)だんママちゃんの病気についてからのつづきになります。


主治医の見解では浮腫が予想よりひどくなったのは、糖尿病を既往していたことに
原因があるかもしれないということでした。

たしかにそのことは手術前にも説明があったけれど、
糖尿病の診断は術前におこなった健康診断で初めて言われたことであって、
前年度は標準値であった(と本人からは聞いていた)ため、
あまり心配していなかったのだった。


だんママちゃんの腫瘍があった部分は右の側頭部、耳の前上あたりの位置でした。

脳の浮腫のために切除した部分は右前頭葉と思われます。



幸い身体の麻痺はありませんでしたが、リハビリを始めるとあれ?変だぞ?
という症状が徐々に現れてきます。



様々な事が原因で脳が損傷を受け、
思考や記憶・学習や判断する能力に障害が残ってしまう事を
高次脳機能障害といいます。


これは外見は普通だし、短時間の会話でも(言語に障害が出た場合は別ですが)
気がつかない場合があり本人も当然気がついていない・・・
(自分は正常だと思っている)ことが多い。


社会生活がうまく出来なくなってしまうにもかかわらず、
身体機能に障害があるわけではないため、身体障害者福祉制度の対象には
なっていないという理解されにくい障害です。



実際に彼女に現れた症状は大きく分けて以下のような事。





1)半側空間無視
 視力はあって見えているものの、左半分の認識が出来ていない。
 これによって、左側に置かれたものが認識出来ず食べ残してしまう。
 道路を歩いていてもどんどん右へと寄っていってしまい、
 まっすぐ歩いているつもりでも右の道へと曲がってしまったりする。



2)見当識障害(認識障害)
 自分がどこにいるのかがわかっていたとしても、
 どう行動すれば目的地に行けるのかがわからない。
 道を間違えたと思っても、引き返せない。
 (パズルの迷路などをやってみると同様のことが顕著に現れる。)

 ちょっと似ている部分があると(姿形だけでなく、同じ名字の場合もある)、
 年齢に関係なくその人と思ってしまう。



3)記憶障害
 昔の記憶はしっかり残っているが、新しいことが憶えられない。
 計算などは逆に得意で問題なく出来る。
 (興味がある事についてだけはしっかり憶えるので、能力がないわけではない。)



4)遂行機能障害
 物事を計画して行動することが出来ない。

 コレをすると結果はこうなる・・・という認識がない。
 (相手を怒らせることを平気で言ってしまう^^;空気読めない人です。)

 順番が整理出来ずにどうしたらいいのかわからなくなる。
 (たとえば家を建てる順番は基礎→軸組→屋根→壁のような絵札を並べるテスト、
 いきなり屋根が1番目かしら?次は軸組ね?というように物事の成り立ちや空間認識が
 とっちらかってしまっています。。)



5)注意障害
 集中力がない。長時間の作業が出来ない。
 待つ事など少しのガマンが出来ない。
 探し物などについては、自分が思った場所しか探せないため、
 目の前にあるものでも「ない」といって何度も同じところを探す。


 4)5)により、部屋はいつもドロボウが入ったようにぐちゃぐちゃ・・・
(これについては以前から?というウワサもありますが・・・ ( ̄∇ ̄;) 





上記は、あくまでもだんママちゃんの症状であり、
個人の性格や傷を受けた位置によっても症状は様々です。

(反対側であれば、多分言語に障害が出ていたことでしょう。)



退院後、1年間はほとんど毎日つきっきりで散歩・通院・リハビリの日々・・・
紹介状を持って新横浜のリハビリセンターにも通いました。

しかし、いくつかのテストを受けて上記の診断が下った以外は
何の効果も改善も見られなかったです。



高次脳機能障害」という名称は本人の奔放な行動を制したり、
やってはいけないことを説得する上での介護する側の道具として
使われるようにはなりましたが、
本人にとっては保険にも薬にもならないものでした。



車が運転したい。

職場に戻りたい。

友達に会いたい。

横浜に行きたい。

鎌倉にいきたい。

食べたいものがある。



彼女にしてみれば、毎日普通に自由にやっていたことをどうして制限されるのか?

出かけてみると、知ってる場所なのに何故道に迷ってしまうのか?

まったくわからないことだらけであったろうと思います。




「あなたは大きな手術をしました。
後遺症でそれら全部が今は出来なくなってるんですよ!
だから一人で外出してはいけません。」   (残酷ですよね〜)


「そんなことはない、今までぜんぶ一人でやっていたことなのだから
できないことなんてない。バカにしないで!」



そういうことのくり返し・・・


プライドの高いだんママちゃん^^;色々工夫をします。
それはそれで脳のリハビリにはいいことだったようです。


一人でそーっと出かけてみては、大量のお菓子を買い・・・
帰れない場合はタクシーに乗ってしまう。
(お金がなくてもーー;)


タクシーが通らなければ迎えに来てと電話をしてくる。(∴`ω´)/ムキー!
(敵もしたたかっ!)


そうすると、帰ってからこってりと鬼嫁に怒られちゃうわけで・・・、
はじめのうちは反省するものの、怒られる事にもすぐに飽きてしまい、
何故おこられているのかも忘れてしまう有様・・・。
(まぁ、これはどこぞの悪ガキも同じです。^^;)



未だ介護保険もなかった頃です。
支援業者や通院などの送迎のドライバーさんがいるところなどを
区役所でいろいろ紹介していただきました。
・・・こんなサービスもあるんだなぁ〜と勉強になりました。


このままではマズイ、自分が運転しないと!
マニュアル免許を持ってはいても、当時ペーパードライバーだった私は
だんママちゃんのマニュアル車を小さめのAT車に買い替え、
休日にだんちゃんに横に乗ってもらい、運転の練習やり直し・・・
(良く頑張りましたね〜^^;)




1)の半側空間無視については、約1年かかって克服、
左側を意識して歩く事で徐々に慣れて一人歩きができるようになりました。

食事は11年経った今でも器が右側に偏ります。
左にあるものを取るには左に1歩踏み出せば済む場合でも
右から立ち、ぐるりとまわって左へ・・・
また右側へ回って座るという動作を繰り返してしまいます。
時間がかかりますが、本人が動きやすいならばそれで良し。^^:



リハビリの機能訓練がキライだと言うので、
ヘルパーさんと相談して体操教室にしてみたり・・・

誘っていただいたリハビリサークルは3カ所全てに参加。

リハビリといっても書道・切り絵等の手作業や音楽や朗読など声や耳を使うこと。
バス旅行等やスポーツなどのレクリエーションなど楽しく出来ることばかり。
そういう外からの刺激がリハビリとなるのですね。


最終的には本人のやる気ですから
やりたくない事は無理にやらせても無理・・・。


だんママちゃんの場合はどれも楽しかったようで・・・
貪欲に予定が重なっても両方いくと・・・
その日の準備も一人では出来ないくせに・・・
自分なら両方イケルると自信満々?(ー”ー)テメー!イイカゲンニシロヨナ


3年後には、時間までに準備を手伝って家を送り出してあげさえすれば、
何とか一人で通えるようになっていました。
そのやりたい気持ちや仲間に会いたい欲求が大きかったからだと思います。
(全然違うところに行ってしまったこともたびたびでしたけど・・・)


リハビリサークルの先輩方は皆さん良い方ばかりで、大変お世話になりました。

バス旅行くらいなら自分たちが付き添うから大丈夫よ。^^

と言っていただき、付き添いや迎えの回数も徐々に減り・・・



私はそれなりになんとか自宅で仕事を続けていました。

仕事部屋に籠ることはだんママちゃんから解放されることでもあったのです。

でないと・・・いやそうであっても容赦なく襲ってくるだんママ攻撃ww!



ガオー!(あれがない、これがない!)

ガオー!(あそこにいきたいからこれから一緒に行ってくれ!)

ガオー!(おなかがすいたからお菓子だして!)



神様は我々に子供を授けてくれなかったけれど、だんママちゃんという
子供のような人を面倒みなさい・・・と言っておるのかな〜?


途中からそう思うことにしました。
(正直子供と違ってかわいいと思えないところはどうしたらいいのだ?)



次回につづくであります。^^



唐突ですが・・・
suika3.jpg
このスイカ・・・¥100だって・・・マジでー?

火つけたい形・・・


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コメント 11

こぎん

うんうん・・・子育ては「成長」という喜びがあるのだけど、
高齢者介護はやることは似ているけど、喜びってなくて、虚しさだけ・・・・
せめてさ~、子どもの頃の身長・体重に戻ってよ~とか思っちゃう。

by こぎん (2009-09-03 09:32) 

nakasama

*こぎんさん
うん、小さくなってくれたらウレシイな〜!
お風呂入れるのラクチンだものね〜^^;
ヨーダみたいでかわいいかも(?)
最近支えると腰にくるですよ。(-""-;)
by nakasama (2009-09-03 16:45) 

denn

うまくいえないけど・・行動には目的があるはずだ^^
見失わないように^^
生きる事はさ^^全部^^自分のためなんだから! 
by denn (2009-09-03 20:24) 

nakasama

*dennさん
んんん?だんママちゃんの目的ってこと?
それはちゃんとその都度聞いてましたね。
じゃあ明日まとめて行ってあげるから待っててね・・・が通じないのだ。
悲しいかなそれで毎回上記のような結末になってしまうのですね。
どうしてなんだろう?と聞くのもダメ。
どうして?って聞かないで、自分でも良くわからないんだから・・・だそうです。 (ー”ー)

この障害の場合は自分で判断する事が苦手になってしまってるので、くり返して習慣にしていくしかないのです。
習慣になるとまたこれも変更が大変なんだけど・・・
by nakasama (2009-09-03 21:51) 

nakasama

あ、そうそう自分の中で1度意思決定してしまうと修正がきかないというのも特徴的でした。
by nakasama (2009-09-03 21:58) 

denn

nakaちゃまのモチベーションって意味でした^^意義のあることなので^^大変だけど がんばってね!まぁ^^うまくコメントできませんが^^
by denn (2009-09-04 05:21) 

nakasama

*dennさん
そうでしたか^^どうもありがとー。
うん、でももうがんばらないもんねー、これからは中では出来ない楽しみを作ってあげればいいだけだからさ〜^^
by nakasama (2009-09-04 09:58) 

モモパパ

うちににょろと一緒に帰って母と良く話すのですが・・・
同じ事を3〜4ヶ月、帰る度に最近「○○な事があって」って^^;
最近はにょろの様に受け流す方が良い気がしてます^^;
やっぱり頑張り過ぎない事は大切だと思う今日この頃です。
だんママさんの場合と加齢によるうちの母とでは違いますが・・・
by モモパパ (2009-09-08 21:27) 

ユキ

旦那のことさえ、長男と思ってやれない鬼嫁の私っ
忍耐力ですね~
私には同じこと、できないかも(°∇°;)
by ユキ (2009-09-09 01:58) 

yann

なんてコメントしていいのか、言葉がみつからずに時間が経ってしまいました。
私の義母は私の手術直前に他界してしまいましたが、義父は元気で毎日プールに通ってます。
実家の両親はそれぞれ入院したり手術したりですが、おかげさまで何とか元気にしています。
でも、いつかは自分にもそういう時が訪れると肝に銘じ、かみしめるように読ませてもらっています。
ただ、へなちょこの自分にはまだハラをくくるというか覚悟のようなものがありません。
実際にその時に遭遇したらそんなことは言っていられないことは分かっていますが…。
今は、nakaさんの姿がすがすがしく美しいと思う。
そして自分の指針にしたいと思う。
ただ、無理をせずに、身体だけは気をつけてくださいね。


by yann (2009-09-09 23:06) 

nakasama

*モモパパさん
うんうん、それは年をとったら普通のことだもの、相槌うってあげましょう^^;
それが日常なので1つ1つ訂正してると疲れちゃいますよ^^;
肉親は元気な頃の親を知っているだけになかなかそう言う姿を受け入れにくいのかもしれませんね・・・



*ユキさん
旦那を息子?そんなかわいいものではないでしょ〜?
無理無理^^;



*yannさん
どもども、恐縮であります。^^;
義母の手術後からは何も考えずに毎日の生活を何とかしないと〜とスパルタな鬼嫁で何年も過ごしてしまったので・・・それが良かったのかどうか?
違う方法もあったのだろうな〜?と思うこともしばしばです・・・
でも自分なりにやり切った感はあるので、これからは実家の両親(yannさんのところと同様持病?もありますが元気です。)や・・・
いや、その前に自分が楽しく元気な姿でいることが一番の親孝行なのだな〜と、教訓にして過ごしておりますですよ。(ね〜^^;)
ありがとうございまーす!
by nakasama (2009-09-11 08:55) 

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